Column

2024年7月31日
予防・健康管理

犬に野菜は必要?

人にとって、野菜は“健康に良い食べ物”として毎日食べるように心がけている方も多いと思います。
では、犬にとって野菜は必要な食べ物なのでしょうか?

「そもそも、犬に野菜ってあげてもいいの?」
「野菜を与えることで何か悪い影響はないの?」
などと疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。

今回は、野菜が犬に与える影響とその注意点についてお話しします。

食物繊維の消化のメカニズム

人は雑食動物です。肉も野菜も消化し、栄養として取り入れることができる仕組みになっています。

実は、どんな動物でも、野菜に含まれるビタミンやミネラルを消化し体に吸収できたとしても、食物繊維(セルロース)を消化することはできません。従ってセルロースは不溶性食物繊維として便として排出されてしまいます。

そこで牛などの草食動物は、微生物の力を借りて“発酵”させ、セルロースを消化吸収しているのです。
それに対して人は、“煮る”という方法で生の状態では消化できないセルロースを溶かして消化出来るようにしています。

また、肉食動物と草食動物では食性の違いが腸の長さに現れています。
草食動物は肉食動物に比べて腸が長いのですが、これは肉などの動物性食品は消化吸収が速やかであるのに対して、植物性のものは時間がかかるからです。

犬は人と同じ雑食動物

犬も人間と同じ雑食動物ですが、人より肉食に近い雑食動物といわれています。
犬の腸は繊維を消化するような仕組みになってはいないので、野菜類の消化率が低いことが否めないのは事実です。
しかし、最近の研究では、食物繊維は犬の腸管の健康に役立っていることが分かりました。

● 食物繊維を食べることによる犬への効果
1. 食物繊維は消化されないので、大腸内で「うんち」の量を増やし、腸壁を刺激するため便秘を予防することができる
2. 食物繊維は消化されないので、胃の中の「滞留時間」が長くなる = 腹持ちが良い
3. 適度な量の繊維質を取り入れることで、小腸内の腸内細菌のバランスを適正に保つ

野菜を与える際に気をつけたいこと

① 野菜ばかりを与えない
野菜ばかりを大量に食べると、腸内細菌によって発酵されて、ガスが溜まりやすくなります。

② 与える量を決めておく
犬のダイエットが目的で野菜を与える場合は、ドッグフードを減らした分よりやや多めの量の野菜をフードの代わりに加えましょう。
ダイエットではなく、「毎日同じフードではかわいそうだから」ということであれば、ドッグフードの上に野菜を少量乗せるイメージでいいでしょう。

③ 調理する際の注意事項
個体差はありますが、犬は軟らかい食感より野菜の硬い部分(キャベツの芯や大根など)を好むため、茹で汁は捨てて、茹でた野菜だけをドッグフードにトッピングしましょう。

④与えてはいけない野菜

  • ネギ類(タマネギ、ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなど)
    下痢や貧血、嘔吐などの中毒症状が出て、最悪の場合は死に至ることもあります。
    加熱しても成分は変わらないため、与えないようにしましょう。
  • アボカド
    アボカドに含まれているペルシンは犬にとって有害な成分で、嘔吐や下痢を引き起こします。
    また、カロリーも高いので与えない方が良いでしょう。
  • 山芋(とろろ)、長芋
    山芋は、粘り気がありシュウ酸カルシウムが含まれています。この成分の結晶がかゆみやかぶれの原因になるため、与えないようにしましょう。
    長いもは生食や加熱調理をして与えることができますが、とろろ芋と同じくシュウ酸カルシウムが含まれているため注意が必要です。

しかし、あくまで摂取する量が重要であり、通常は舐めた程度では大きな問題に発展することはあまりありません。
ただし個体差がありますので、なるべく摂取しないように注意しましょう。

まとめ

野菜に限らず、初めて食べさせる食材は少量ずつ様子を見ながら与えましょう。
また、丸のみしないように小さく切ったり、加熱が必要かどうかも確認が必要です。

万が一、食べてはいけないものを食べてしまったり、食後急に体調が悪化した場合には、お近くのプリモ動物病院へご連絡ください。
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